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隠れた名作の発掘が生きがい。

『風は青海を渡るのか?』意識や生命を探求する楽しさ


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森博嗣さんの小説『風は青海を渡るのか? (The Wind Across Qinghai Lake?)』を読みました。Wシリーズの第3作目です。青海はチベットにある青海湖のことを指していて、そこが舞台の一部になっています。


主人公の「ハギリ」は人間とウォーカロンを識別する研究を行っています。その研究には子供のデータが不足していましたが、今回はそのデータを集める目的で子供のいるナクチュに向かいます。


ナクチュを訪れたハギリは、博士のツェリンとヴォッシュと出会い、とある神殿を訪れます。そこに存在する巨大な棺桶、発電システム、それをメンテナンスする機械…それらがなぜ作られたかを推測し始めます。そして、その推測の中でマガタ・シキの名前が出てきます…


だからこそ、いま、意識とか、生命とか、人間性とか、そのようなものが、実際に存在するのか、それとも単なる振る舞いにすぎないものか……、見極める必要があると感じるのですが


ウォーカロンに意識はあるのだろうか。生命はあるのだろうか…『風は青海を渡るのか?』はそんな疑問に対する答えを探していくような内容でした。(青海は「せいかい」と読みますが、「正解」という意味を暗示しているような気がします)


寿命が長くなり自由に使える時間が多くなった世界では、意識や生命といったより深くて難しい不思議を探究することが多くなると思います。答えがあるのか分からない不思議を研究者達が議論する様子が読んでいて面白いと思ったところです。意識や生命の本質に近づくことができれば、人間(あるいはウォーカロン)は高次の存在になれるのではないだろうか…


また、エピローグの最後の一言でやられる人が続出なのではないかと思います。マガタ博士は一体どこまですごいのか!?


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