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発熱するマイナー魂

隠れた名作の発掘が生きがい。サブカル作品の感想とIT技術メモ中心のブログです。

『未開の惑星』誰かが報われて、そして誰かが報われない話

松本次郎さんの漫画『未開の惑星』を読んだ後、「世界は誰かの犠牲の上に成り立っている」ような感覚が尾を引きました。 物語の舞台は暴力の溢れた戦禍の街で、そこに住む3人の幼なじみが何かを掴もうと足掻きます。踊り子のクッキー、パン売りのナオミ、そ…

異質な生物達と共存するという可能性『田中雄一作品集 まちあわせ』

巨大な蟲や巨獣などといった異質な生物が、人間社会に入り込んだらどういった結末を迎えるだろうか。そんな"もしも"を楽しめる漫画が『田中雄一作品集 まちあわせ』です。 異質な生物と人間とが一緒に生きる世界は、油断すると淘汰される危険性も含んでいた…

『バイナリ畑でつかまえて』IT技術と人とがうまく融和できないもどかしさ

現在の社会にIT技術はすごく浸透していて、もはや手放しがたいものとなっています。その技術が人にもたらす恩恵は大きいですが、SNSに載せていた情報が予期せぬ所でばれたり等、時にはその技術に翻弄させらたりもします。 『バイナリ畑でつかまえて』は、IT…

『熱帯のシトロン』混沌とした世界で成長する「何か」

「ブラウン管の向こうでジャングルが炎に包まれていた時代。」の文言からから始まる漫画『熱帯のシトロン』。タイトルだけだとどんな物語なのか想像がつかなかったのですが、読み進めていくうちにどうやらこの漫画は混沌とした街を救う物語ということが分か…

『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』つぶさぬよ!

『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』という漫画を最近読みました。『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』『たべるダケ』に続くお食事系漫画の第4の波が来た、そう思った次第です。 内容は、食べ方に対する持論を述べていくというものですが、これがすごく親近感のわ…

『キヌ六』サイバーパンクな世界でつっこみがすごい

アフタヌーンで『キヌ六』という漫画を見た時、『BLAME!』や『銃夢』を読んだ時のような高揚感を思い出しました。90年代後半の作風を感じる、サイバーパンクでサイボーグな世界が蘇った感じです。 ディストピアな雰囲気が漂うけれど、どこかほのぼのとした空…

『橙は、半透明に二度寝する』思春期に不可思議なものに出会うと暴走しがちになるわけで

思春期とか青春な学生時代とかに出会う悩みには”特別”と感じる重さみたいなものがあると思います。その特別な悩みに対しては無意識に劇的な解決を望んだりするものだろうと思います。 そんな特別な悩みと劇的な解決が用意された不可思議な世界を楽しめる漫画…

『春ノ虫虫』痛いけれどやめられない欲望にぞわぞわする

『社会不適合の穴』を読んだなら『春ノ虫虫』も読まなー!というわけで、Kindleストアで購入できるようになっていた『春ノ虫虫』を即買いです。 本作は5編の短編で構成されていて、中には『社会不適合者の穴』に出てきた登場人物を想起させるようなキャラク…

『社会不適合者の穴』狂気と妖艶が重なりあった世界が素敵すぎる!

『社会不適合者の穴』がKindleストアで発売されとるやんけーー! というわけで即買です。『社会不適合者の穴』はサブカルな漫画を買いあさっていた学生の頃に出会った作品で、物憂い何かを残していった青春でSFな名作です。 作者は田村マリオさんで、この方…

『よるくも』生きていくという犠牲の連鎖は続いていく

ついに最終巻が発売された『よるくも』。漆原ミチ先生の描く世界観が素晴らしすぎて、かなり大好きな漫画の1つで、間違いなく傑作の漫画がついに最終回を迎えて、「始まりがあれば終わりもある」ということを実感してジーンとなっています。この作品が世に…

『ウォッチメン』ヒーローの裏の姿が露わにされる展開に興奮です

ヒーローというものは、正義の塊みたいなもので、大衆にとって平均的に悪だと認知されているものを倒すものである。そんな子供の頃に植え付けられたような価値観の尺度を刷新するような作品が『ウォッチメン(Watchmen)』でした。1986年代に出版された漫画…

あ、やばい、せつない!『NieA_7 Recycle』

Kindleストアを見ていたら、『NieA_7 Recycle』(ニア アンダーセブン リサイクル)が出版されていました。どうやらもともと2000年あたりに2巻完結で出版されていた本を1冊にまとめた本のようです。懐かしいなーと思って買って読み直したら、なんか胸を締め…

それが何か分からないまま唐突に終わる『フリージア』

フリージアは松本次郎さんの描くバイオレンスアクションな漫画です。仇討ち法が成立した社会で、殺人事件の加害者に報復する。 フリージア 第1集 (IKKI COMICS)作者: 松本次郎出版社/メーカー: 小学館発売日: 2003/07/30メディア: コミック購入: 2人 クリッ…

『エスニシティ・ゼロワン』集団に属するということを考えた

『エスニシティ・ゼロワン』は多田乃伸明さんのSF漫画です。平穏で安定した囲郭都市の外に追放された少女の物語。共通の意志を持った人が集まれば、やがて革命が起きる! エスニシティ ゼロワン 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)作者: 多田乃伸明出版社…

次のコマではもう3年が過ぎている。時間がギュンギュン飛ぶ漫画『星屑ニーナ』

かつてニーナという少女がいて、その記憶は星屑という名前の乾電池駆動ロボットに残り続けます。この記録を巡って物語が展開されるのですが、時間が面白いほど飛びます。次のコマでいきなり3年後や50年後に飛んだりするなど、歴史を早送りして俯瞰するような…

へんたいよくできました。『ニッケルオデオン 緑』

『ニッケルオデオン 緑』は道満春明氏の1編8ページのショートストーリー集です。全部で13編。帯のキャッチコピーは「へんたいよくできました。」。。。なんてこった!ニッケルオデオン 緑 (IKKI COMIX)作者: 道満晴明出版社/メーカー: 小学館発売日: 2013/02…

『預言者ピッピ 』ほぼ確定された未来に抗う物語が素敵すぎ

『預言者ピッピ 』は地下沢中也氏が描く予言SF漫画で、ほぼ確定された未来に抗うような物語です。現在までに2巻が刊行されています。 預言者ピッピ (1)作者: 地下沢中也出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2007/05/05メディア: コミック購入: 22人 ク…

『神さまの言うとおり』生死をかけた理不尽なゲームです

『神様の言うとおり』は生死をかけたゲームをさせられる漫画です。第一巻のキャッチコピーは「傑作カタストロフィ・サスペンス!!!」 神さまの言うとおり(1) (少年マガジンコミックス)作者: 藤村緋二,金城宗幸出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/07/08メデ…

『ハルシオン・ランチ』食べて吐いて、その吐いたものをまた食べる!

ハルシオン・ランチはおそらくグルメ漫画です。色んなものを食べて吐いて、その吐いたものをまた食べる漫画です。衝撃的です。しかし、不思議とグロくはなく、むしろエロく感じたのですが、この感覚はいったい何なのだろうか?! ハルシオン・ランチ 1 (アフ…

機能不全の愛が素敵。よるくも3巻で発熱する。

よるくも 3巻 よるくも 3 (IKKI COMIX)作者: 漆原ミチ出版社/メーカー: 小学館発売日: 2012/08/30メディア: コミック購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見るキヨコの逃亡先がすごいところに。直視しがたい世界で心が次第にうわーってなっ…

なんでもありの8ページ『ニッケルオデオン 赤』

『ニッケルオデオン 赤』は道満春明氏のショート13編です。1編8ページの内容で、味わい深い余韻を残すストーリーに惚れ惚れします。各作品を読んだ感想を以下に綴りました。 ニッケルオデオン 赤 (IKKI COMIX)作者: 道満晴明出版社/メーカー: 小学…

ホラーだけどどこか無邪気『路地裏第一区 〜ムライ作品集〜』

たとえば、人ならざる者がひしめく路地裏に誘われる少年。 『路地裏第一区 〜ムライ作品集〜』は子供の頃に夢の中で見た光景を映し出したような作風が特徴的なファンタジーです。 路地裏第一区 ―ムライ作品集― (IKKI COMIX)作者: ムライ出版社/メーカー: 小…

救われなくて目を覆いたくなる漫画 『ミスミソウ』

とてつもなく陰鬱として救われなくて目を覆いたくなるほどの衝撃的な作品。それが押切蓮介さんの漫画『ミスミソウ』です。 ミスミソウ 1 (ぶんか社コミックス)作者: 押切蓮介出版社/メーカー: ぶんか社発売日: 2008/03/17メディア: コミック購入: 26人 クリ…

2011年に読んで面白かった漫画のまとめ

2011年に読んで個人的にとても素敵だった漫画をまとめました。 風の谷のナウシカ 思春期の頃に読んでいたら、今の嗜好に多大な影響を与えただろうなと思える作品です。映画版の内容は深い腐海の入り口に過ぎなかったのですね。 虫と歌 せつなさが溢れる作品…

残酷で仄暗い世界が超魅力的 『よるくも』

『よるくも』という漫画があって、この漫画が個人的に今熱い! この[世界]には、上・中・下、がある。 富めるものの住む[街]。 貧しいものの住む[畑]。 その下に、深く、暗い[森]――。 よるくもの1巻では、上中下な社会構造を仄暗く表した世界観と、…

すごいバランスで生きている日常『ムルチ』

すごいバランスで生きてんのよ、ほんときせきだと思わない? 『ムルチ』はそんなセリフが強烈に印象に残った作品です。三隅健さんの作品集であり、心に染み入る以下の6作品から成ります。 ムルチ カクトロの世界 ブルーハワイ島 動物飛行機 七色岬 空 ムルチ…

真夜中に二人で 『25時のバカンス』

市川春子さんの作品集第二弾。深海、月、宇宙と、前作の虫と歌に比べると規模が少し大きくなっていると感じます。 25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)作者: 市川春子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/09/23メディア: コミック購入: 16人…

じんわり心にひびく異世界 『惑星さんぽ』

宇宙のどこかで。 明日、何かと出会えるかもしれない…。 惑星さんぽ (WANIMAGAZINE COMICS)作者: toi8出版社/メーカー: ワニマガジン社発売日: 2011/02/11メディア: コミック購入: 11人 クリック: 71回この商品を含むブログ (19件) を見る ヴィレッジヴァン…

科学で人生は様々に変わる 『スキエンティア』

戸田誠二の描くヒューマンSF。スキエンティアは「知識」と「科学の女神」を意味します。 スキエンティア (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)作者: 戸田誠二出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/01/29メディア: コミック購入: 10人 クリック: 82回この商品を含む…

蛇口漫画『バニラスパイダー』が素敵

『バニラスパイダー』で用いられる武器は蛇口です。そう、武器が蛇口なのです。そして主人公は存在感がなく、ヒロインはよく固いもので殴られます。 バニラスパイダー(1) (少年マガジンコミックス)作者: 阿部洋一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/04/16…

"島"脱出漫画 『ぷりぞな6』が素敵

緯度不明。 経度不明。 その島に名前はない。 そこはただ---「島」とだけ呼ばれている。 ぷりぞな6(PRIZONA6)は金月龍之介、KOJINOによる4巻完結の島脱出漫画です。島という世界に集められた少女たちの脱出過程が素敵です。 ぷりぞな6 1 (サンデーGXコミッ…

70億の針

多田乃伸明さんのSF。自然現象に立ち向かう一人の少女の物語。 70億の針 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)作者: 多田乃伸明出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2008/11/22メディア: コミック購入: 3人 クリック: 76回この商品を含むブログ (3…

虫と歌

市川春子さんの短編漫画集『虫と歌』がセツナスゴイ!(セツナスゴイ=切ない+すごい)虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)作者: 市川春子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/11/20メディア: コミック購入: 57人 クリック: 1,402回この商品を含むブロ…

風の谷のナウシカ

風の谷のナウシカの映画は、よく金曜ロードショーで放映されていたので、何回か観たことがあります。しかし、漫画は、映画と同様の内容だと思って読んでいませんでした。しかし、知人から原作は映画で謎だった部分が明かされ、なおかつ深くて面白いと熱く語…

2010年に読んで面白かった本のまとめ

今年も最後の日ということで,2010年に読んで印象に残った本をまとめました.なんとか今年中にまとめたかったけれど,時間があまり取れなくて取り急ぎでまとめた感じです.完全なる自己満足です.どうぞ! 10 限りなく透明に近いブルー クスリと暴力の溢れる…

家族ランドマーク

大澄剛氏の描くひとつの家族の物語.人よりも髪の伸びるスピードが速い姉がいる家族. この漫画の非日常性は,姉の髪の伸びるスピードが感情の起伏によって速くなるということだけです.けれど,そのひとつの性質が不思議な魅力をもっており,その不思議性が…

Marieの奏でる音楽

古屋兎丸氏が描くファンタジー.神はMarieに,人々を幸福にせよと言われた.絶対的な安楽を舞台にした,真理を巡る物語が動き出していた. 個性的な世界で平和に生きる人々は,楽園のイメージを想起させます.物語のカラクリは緻密に織り込められており,つ…

数学ガール

結城浩原作,日坂水柯作画の数学少女.キャッチフレーズは”理系にとって最強の萌えをあなたに”. 数学ガールことミルカさんは数学に関する哲学的な何かを具体化する.”数学が美しい”という概念はミルカさんという存在によって昇華されると言ってもよいくらい…

銃夢

木城ゆきと氏によるSF格闘漫画.クズ鉄町で発掘された少女型サイボーグが戦いに巻き込まれていく. 『身体をサイボーグ化してバトルしあう』という着想は,近未来で行われる破壊的な戦闘シーンとして想像する典型であると感じる.本作はそのイメージの根底を…

ギョ

伊藤潤二氏による魚系ホラー作品.海から湧き出てくるたくさんの魚型が人々を襲う.奇奇怪怪な器械がわさわさ. 死んだ動物がなおも活動を続けるという腐臭漂う世界が素敵.死と生に接続した異形は単純ながらも凶悪なエネルギーで,まるで暗黒系の未来を支え…

うずまき

伊藤潤二氏によるうずまき作品.町や人が,原因のわからぬままにうずまき化していく.不可避で奇妙な現象が拡大していく. うずまき模様は視線を中心に向かわせる性質をもつ.そんなうずまきの魅力を具体化したようなホラーが特質的で素敵です.ちいさな異変…

アトモスフィア

西島大介氏が描くドッペルゲンガー.ある日,わたしの分身が現れたことから世界の対称性が崩れていく. 不条理だけれども,それを赦せる,そんな理想像が漠然と頭の中にある.支離滅裂な現象をも許容し,関心すら希薄な世界で,主人公が本心を気持ちいいほど…

超伝脳パラタクシス

駕籠真太郎氏による超伝脳作品.サードラと呼ばれる巨人を制御して,さまざまな用途に活用する世界. サードラをクローンし,増産し,分解し,接合する.人間機械論を極めていった1つの極所解的な世界がエログロく飽和している感じです.人権,モラルという…

STONe

ヒロモト森一さんによるSF作品.舞台は星を潤していた海が全て砂と化してしまった地球.人類最後の生命は尽きようとしていた. 人間が存続していることが不思議なくらいの荒廃的な世界が大好き.そんな絶望的な自然の中で生きている人達の信条や価値観が交錯…

BIOMEGA

二瓶勉さんによる壮大なスケールで描くバイオハザード.生存はとても絶望的.未曾有の大災害は,地球すらも巻き込んで,飛躍して拡大する.圧倒的な武装で挑む戦闘シーンは,疾走感と迫力を帯びていてかっこいいです.また,創造された世界と生命は,人口と…

ABARA

二瓶勉さんによる妖艶なグロテスクが炸裂するハードなSF作品.巨大な廟のある世界でアバラっぽい何かをまとったヒーローが躍動する. 背骨がむずがゆくなるような生物兵器を制御して,圧倒的なパワーとスピードを持つ異形の生物に立ち向かう.その姿は暗黒と…

NOiSE

弐瓶勉さんによるSF作品.BLAME!とリンクした世界を描いた外伝.世界変革の一部始終を収録.BLAME!と比べるとより説明的に物語が進んでいくので内容は理解しやすい. 開発途上ではあるが,荒廃の兆しをみせている世界に惚れ惚れする.自らの肉体を改造してで…

BLAME!

弐瓶勉さんが描くSF作品.無限に続く都市の中を彷徨う話.高度な技術に支持されてはいるが,生命の生気は希薄な世界.退廃的で電脳的な質感がとても素敵. 主人公の目的は都市の増殖の原因となるカオスの加速を止めること.物語には世界についての情報が少な…

ブラム学園! アンドソーオン

二瓶勉さんの作品集.帯に「二瓶勉先生いったいどうしちゃったの」と書かれている.時代は移り変わっていくことを実感する作品だと思う.作品は全部で10作. 01 ZEB-NOID 異種間の姿体がハードで美しい 02 ブラム学園! 授業がとてもハード 03 ブラム学園! 京…

おもいでエマノン

梶尾真治×鶴田謙二.「地球に生命が発生してから今までのすべての記憶」を持っている少女という壮大だけど熱くせつないものを感じさせる設定.永遠を想起させる物語はとても好きで,それに伴う悲しくも幸せな瞬間を感じられる仕上がりとなってます.癒される…