マイナー・マイナー

隠れた名作の発掘が生きがい。

小説

豪華すぎない?SF名手が集まった『BLAME! THE ANTHOLOGY』

九岡望、小川一水、野崎まど、酉島伝法、飛浩隆… 弐瓶勉さんの漫画『BLAME!』のアンソロジー小説『BLAME! THE ANTHOLOGY』を手がけている小説家のリストですが、SF好きであれば見たことのある作者が並んでいると思います。もうね、一目見て思いましたよ。こ…

『小説BLAME! 大地の記憶』途方も無い時間、忘れられない何か

冲方丁 × 弐瓶勉 もうね、面白くないわけがない! 弐瓶勉さんの『BLAME!』を冲方丁さんの語りで描く、そんな夢のコラボが『小説BLAME! 大地の記憶』です。 小説は、漫画『BLAME!』の最初のあたり(LOG.1〜11)を描いた内容となっています。基本的には…

バラエティ豊富な不快をどうぞ『肉食屋敷』

小林泰三さんの短編小説『肉食屋敷』は、バラエティに富んだ不快系ホラーな作品です。4つの短編で構成されていて、「怪獣小説」「西部劇」「サイコスリラー」「ミステリー」と、さまざまなジャンルがそろっています。 小林泰三さんの小説といえば、グロい内…

吸血鬼を分析して対処『ネフィリム 超吸血幻想譚』

吸血鬼は血を吸った者を吸血鬼にする。であれば、吸血鬼は指数的に増えていくのでは? 言われてみればそうだよ!な気づきが得られた小説が小林泰三さんの小説『ネフィリム 超吸血幻想譚』でした。吸血鬼の生物的な特性を考慮したバトルが熱い小説です。 舞台…

知らなければ良かった話が満載『脳髄工場』

知らなければ良かったと、後悔したことってたくさんありますよね。 自分の存在の正体、住所しか書いていないビデオテープの中身、美味しいお菓子の成分など、興味本位で知りたいことはたくさんありますが、それを知ることは必ずしも幸せな結果になるとは限ら…

『AΩ 超空想科学怪奇譚』終わりと始まりが否応なしに訪れたら

小林泰三さんの小説『AΩ 超空想科学怪奇譚』はSFとクトゥルフ神話が融合したような内容で、両方が好きな人にとってはたまらなく面白いです。日本SF大賞の候補にもなった小説で、隠れた名作でもあります。 学生の頃に読んだ小説なのですが、この小説を読んで…

人間の不安定な部分があぶり出される恐怖『人獣細工』

人間は、自分自身が他の生き物と比べて高尚で完成された生き物と思い込んでいるところがあります。けれどそれは幻想にすぎなくて、考え方を変えると人間はとても不安定な生き物のように見えてきます。 人間は不安定な生き物、そんな事実を突きつけられる小説…

『マインド・クァンチャ』忘れることで強くなる、そんな剣士像に惚れます

『ヴォイド・シェイパ』シリーズの5作目『マインド・クァンチャ』。著者の森博嗣さんのページによると、 これでシリーズ完結としても良いと思っています。次も書くかどうかは、まだ決めていません。 とのことなので、おそらくはこの巻で完結です。「剣士の生…

『記憶破断者』推測で殺人鬼を追い詰めていく過程にしびれます

記憶が数十分しか持たない主人公 VS 記憶を上書き出来る殺人鬼 小説『記憶破断者』の内容紹介だけを見ると無理ゲーな感じがします。主人公の田村二吉は、そんな圧倒的に不利な状況の中で、殺人者の情報を収集し、追い詰めるための算段を画策していくのですが…

『フリーランチの時代』自由になればなるほど、人らしさが見えてくる気がします

技術はますます発達して、いずれはほとんど働かなくても生きていける時代がくるかもしれない。そんな飽食の時代になった時、人は何をするだろうか。そんなテーマ性を小説『フリーランチの時代』に感じます。 圧倒的に自由になったとしても、もしかしたら人の…

『アイの物語』人の物語を理解したいアンドロイドの物語

いつかは人と同様の知性を持つアンドロイドが開発されて、人と同じ行動範囲で生活する未来が来るかもしれない。その時人は、アンドロイドに対してどういった感情を持つのだろう。 人から見ると、アンドロイドの思考は異質のように感じると思います。同様にア…

『幸せスイッチ』今の幸せは、他のより良い幸せに気づけなかった結果でしかない

何を大切にしているかは人それぞれであって、時にはその大切なもののために他の何かを犠牲にしたりします。しかし、犠牲はあっても、その大切なものが守れたのであれば、それはきっと幸せなことなのだろう。小説『幸せスイッチ』にはそんなテーマを感じます…

『フォグ・ハイダ』人の生死について考えた。命の大切さが見えてきた。

森博嗣さんの剣豪小説『フォグ・ハイダ(The Fog Hider)』は霧の中での交戦を経験して成長していくような小説でした。多勢の敵に少数精鋭が挑む戦闘シーンがとても熱いです。 今までの『ヴォイド・シェイパ』シリーズは自己解決して成長していく印象が強か…

エンジニアの感性にとても響く『すべてがFになる』

僕が小説にはまるきっかけとなった作品が、森博嗣さん著の『すべてがFになる』でした。漫画化、ゲーム化、そしてドラマ化もされている作品でもあります。それほどまでに、この小説はおもしろくて魅力的だと思います。 内容は、工学部の助教授と学生が孤島の…

『あなたのための物語』人は死ぬという事実を受け入れていかなければ。。

逃れられない死と向き合って、死ぬという絶望を受け入れていく小説が『あなたのための物語』だと思います。余命を宣告されて生きていくことの描写にうわーってなりました。 死を目前にすると、自分のやるべきこととかが明白になって、そのやるべきことに専念…

『ノックス・マシン』文字の世界と現実世界が結びついていく展開がすごすぎる。。

ミステリーが大好きな文系人と、SFが大好きな理系人がそれぞれ面白いと感じる部分を持ち寄って融合させたようなエンターテインメント、それが法月綸太郎さんの小説『ノックス・マシン』でした。「どうやったらこんな発想が生まれるんだ」と思わずつぶやいて…

『マリアビートル』ついていないという試練に抗う姿が格好いいです

新幹線には殺し屋とか悪い奴とかがわちゃわちゃ乗っていて、お互いが出会ったなら後には不運な展開が待ち受けている。伊坂幸太郎さんの『マリアビートル』はそんな展開が面白い小説でした。 スピード感と緊迫感と不運感が、本当、たまらなかったです。おそら…

『海を見る人』異世界間でも変わらない何かに惹かれます

『海を見る人』は、様々な世界で生きる人々や生命を題材にした短編集です。天と地がひっくり返ったような世界や、時間の進む早さが場所によって異なる世界が登場したりします。SF的な好奇心が燻られます。著者は『玩具修理者』で有名な小林泰三さんです。 7…

『スカル・ブレーカ』ノギさんがヒロインしてる!

『ヴォイド・シェイパ』シリーズの三作目『スカル・ブレーカ(The Skull Breaker)』を読みました。タイトルの邦訳は「頭蓋を破壊する者」みたいな意味です。固定された型を崩すような感性を感じます。 内容は、異なる価値観に触れて、その価値観を取り入れ…

『ブラッド・スクーパ』美しいから強いという原則をひたひたと感じます

正義とか美しさとか強さとか、それらお互いに関連がありそうでなさそうな要素をつないでいくような小説が『ブラッド・スクーパ(The Blood Scooper)』でした。正義だから美しい、美しいから強いというような原則を感じられる作品です。 前作の『ヴォイド・…

『ヴォイド・シェイパ』本質を見出していく過程が素敵すぎる!

「日本の剣士」を想像したとき、平均的な感覚からすれば高尚な修行を行っている姿が頭に浮かんだりします。剣の道には深いところにある本質を浮き彫りにしていく過程があると考えていて、その過程はきっと崇高なものだろうと思います。 そんな過程を楽しめる…

『人造救世主 アドルフ・クローン』どうあがいても死ぬよこれ!

人造救世主シリーズは第三巻の『人造救世主 アドルフ・クローン』でひとつの完結を迎えます。最終巻では、超能力がいっそうの強さを帯びてきて、戦いがますます激しくなっていました。 プロローグのバトルはたった一手ミスすると死ぬ緊張感があり、後半のバ…

『人造救世主 ギニー・ピッグス』実験材料達の淘汰バトルが始まる!

困難に抗う姿はやはりかっこいい。今までの知識や経験を総導入して、生き残るための最善の一手を絞り出す。現状分析、仮説と検証、推察結果からの反撃、そんな論理的な展開が特徴的で、理系な頭を刺激するバトルもの小説が人造救世主シリーズです。その第二…

『人造救世主』論理的な超能力バトルが熱い!

小林泰三著の『人造救世主』は、偉人、クローン、超能力が盛りだくさんのバトルもの小説です。内容はライトノベルっぽいです。『鋼-HAGANE-』や『ノブナガン』といった作品が好きならば面白く読めると思います。 なんといっても論理的な超能力バトルが熱いで…

『玩具修理者』生命や時間といった曖昧な実体に潜む何かにぞわぞわする

『玩具修理者』は小林泰三著のホラー短編小説です。学生の頃に読んだ小説なのですが、独特の論理展開やまとわりつくようなぬめりみたいなものが強烈で、その印象が頭にこびり付いていまだに離れないです。 動いている、時間が進んでいるというのは不思議な感…

人のようなものがいっぱい『百舌鳥魔先生のアトリエ』

人型の面影を残して異形なものへとなっていく、あるいは人が人のようなものに出会う怖さをテーマにしたようなホラー短編小説集が『百舌鳥魔先生のアトリエ』です。著者はうわーってなる描写に定評のある小林泰三さんです。 別の可能性へと進化した人型が目の…

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』力を求めて足掻いた感覚が蘇る

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』という、中学二年生のときに持っていた感性を呼び起こさせるようなタイトルの小説をやっと読みました。いやー、もどかしくていたたまれない感覚が尾を引きましたぜ。 内容は、実弾を欲している主人公の山田なぎさと、海野藻…

『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』充実に向かっていく何かを感じたい

女子高生とチェーンソー男が戦っていた。何か面白そうだから手伝うことにした。なんとシンプルで、ラノベ的で、青春感漂うシチュエーションなのだろう! しかし、『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』というタイトルと、安倍吉俊さんの描いた表紙から…

たった一言の収束力がすごかった『十角館の殺人』

『十角館の殺人』は綾辻行人著作の館もののミステリ小説です。本作を読む前に知っていた情報は、たった一言の威力がすごいということでした。たった一言で、物語に渦巻いていた謎の全貌が見えてくる。その伏線回収がスカッとしてすごかったっす。 重要なのは…

『アリス殺し』チグハグな会話に巻き込まれる感じがすごく楽しい!

「このミステリーがすごい!2014年版」を見ると、第4位に『アリス殺し』という小説が選ばれていました。概要を見ると『不思議の国のアリス』に関連する要素が詰まった内容のようです。そして、著者は『玩具修理者』で有名な小林泰三さん。そう、 小林泰三 × …