発熱するマイナー魂

隠れた名作の発掘が生きがい。サブカル作品の感想とIT技術メモ中心のブログです。

小説

『美濃牛』日本の風土が創り出す牛と迷宮

岐阜県の美濃の牛、そして迷宮… ミノタウロス!?と思ったのが殊能将之さんの小説『美濃牛』です。石動戯作(いするぎぎさく)シリーズの第1作目です。 舞台は岐阜県の架空の村である「暮枝村(くれえだむら)」。その村にある鍾乳洞「亀恩洞(きおんどう)…

奇妙な論理好きにおすすめ!小林泰三先生の名作小説30選

小林泰三先生はホラー、SF、ミステリーとさまざまなジャンルの小説を書いています。ジャンルは違っていても、共通して「論理展開」が大きな魅力としてあります。受け入れ難い仮説をさも真実であるかのように説得させられる…そんな論理展開力が癖になります。…

『家に棲むもの』身近に得体の知れないものがいる恐怖感

当たり前だと思っているものは、実は怖いものかもしれない。 身近にいる存在が実は得体の知れない存在だと分かる…そんな物語のある小説が小林泰三さんの『家に棲むもの』です。7編の短編集です。 人間は「見たくないものを見られなくするフィルター」を無意…

『クララ殺し』登場人物達の繋がりが見破れそうで見破れない

異なる世界を行き来するファンタジー・ミステリー小説が小林泰三さんの『クララ殺し』です。『アリス殺し』の姉妹編です。 『アリス殺し』はルイス・キャロルの小説「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」を題材にした世界が登場しましたが、『クララ殺し…

『因業探偵~新藤礼都の事件簿~』論理的思考で弄ぶ快感!

圧倒的な論理的思考ができるのであれば、人を追い込むことも容易いわけで。 論理や理屈をうまく操って事件の関係者を弄ぶ小説が小林泰三さんの小説『因業探偵~新藤礼都の事件簿~』です。『密室・殺人』に登場した女性「新藤礼都(しんどうれつ)」が主人公…

『密室・殺人』論理的思考で謎を解く快感!

「密室殺人」ではなく「密室・殺人」 密室と殺人を描いたミステリー小説が小林泰三さんの『密室・殺人』です。理屈っぽい話好きホイホイなタイトルです。 ある雪山の別荘で女性が墜落死する事件が起きます。また、その女性がいたはずの部屋は密室となってお…

『老ヴォールの惑星』絶望的な状況に抗うという美しさ

生きることは可能だけど、そこで生き続けることに耐えられるかどうか…そんな状況に置かれる小説が小川一水さんの『老ヴォールの惑星』です。 この小説は4編の短編で構成されています。地下の迷宮、海水に覆われた惑星など、様々な絶望的な環境・状況が舞台に…

人の思い込みって怖いよね『惨劇アルバム』

とある家族(辺野古家)に起こった惨劇を描いたホラー小説が小林泰三さんの『惨劇アルバム』です。父、母、娘、息子、祖父の5人を主役にした5編の短編に序章・終章が加わった構成です。 「人の思い込みの怖さ」というのが短編で共通したテーマとしてあると感…

異常な思想が行き着く先は『セピア色の凄惨』

バッドエンドフラグマックス! 小林泰三さんのホラー小説『セピア色の凄惨』が凄惨です。タイトルからして嫌な予感しかしない! 物語は「探偵と依頼人」から始まります。この中で"ある依頼"の調査報告という形で4つの物語が報告されます。4つの報告が終わっ…

思い込みが激しすぎる依頼人達に耐えられる?『安楽探偵』

いくら日本語で意思疎通は取れるといっても、個人の持っている思考は様々なので、話が通じなかったりもしますよね。 中でも思い込みが激しい人とのコミュニケーションは厄介かと思います。その人から必要な情報を引き出したり、説得させたりするのは結構なス…

人工生命体がより人間らしくなる『彼女は一人で歩くのか?』

歩くのでしょう! 人間と人工生命体との関係に素敵なものを感じる小説が森博嗣さんの『彼女は一人で歩くのか? (Does She Walk Alone?)』です。Wシリーズの第1作目です。 人工細胞で作られた生命体「ウォーカロン(walk-alone)」。人間にそっくりで外見から…

ゾンビトリック炸裂『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』

ゾンビを殺すとしたら何か理由がある?? 小林泰三さんの『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』はゾンビ×ミステリーな小説です。この組み合わせ、今まで見なかったなー。 舞台は活性化遺体(俗称:ゾンビ)が外を歩いているのが普通となった世界。 人は…

(名伏し難い)とんでもない真相きた!『黒い仏』

和製のクトゥルフ系の小説が読みたい! と思って調べていたら殊能将之さんの小説『黒い仏』を見つけました。内容は、名探偵の石動戯作(いするぎぎさく)がベンチャー企業の社長の依頼を受けて福岡に行き、とある秘宝を探すというものです。 また、その依頼…

長期記憶できない系小説の究極系『失われた過去と未来の犯罪』

全人類の記憶が10分しかもたない。 この設定さね!小林泰三先生の小説『失われた過去と未来の犯罪』のこのトンデモ設定が熱いです。 物語は、ある日突然に長期記憶できなくなる現象に見舞われるところから始まります。人類はこの現象にどう対処し、そしてど…

モザイクいっぱい!『臓物大展覧会』

なんてタイトルだ! 小林泰三さんの小説『臓物大展覧会』は上級者向けホラー小説です。ホラーにもいろいろジャンルがありますけど、この小説はタイトルから察する方向のホラーです。 臓物と聞くとそれだけでうわーってなるのですが、生物にとっては大事なも…

記憶の不確からしさは追求しない方が良いかも『忌憶』

不確定なものに人は恐怖を感じます。 幽霊とかね。そして、よくよく考えて見ると記憶も不確定なものです。たいていの人は1年前の今日に何をやっていたか、を明確に思い出すことはできないです。 そんな記憶の不確からしさがもたらすホラーを体感できる小説が…

豪華すぎない?SF名手が集まった『BLAME! THE ANTHOLOGY』

九岡望、小川一水、野崎まど、酉島伝法、飛浩隆… 弐瓶勉さんの漫画『BLAME!』のアンソロジー小説『BLAME! THE ANTHOLOGY』を手がけている小説家のリストですが、SF好きであれば見たことのある作者が並んでいると思います。もうね、一目見て思いましたよ。こ…

『小説BLAME! 大地の記憶』途方も無い時間、忘れられない何か

冲方丁 × 弐瓶勉 もうね、面白くないわけがない! 弐瓶勉さんの『BLAME!』を冲方丁さんの語りで描く、そんな夢のコラボが『小説BLAME! 大地の記憶』です。 小説は、漫画『BLAME!』の最初のあたり(LOG.1〜11)を描いた内容となっています。基本的には…

バラエティ豊富な不快をどうぞ『肉食屋敷』

小林泰三さんの短編小説『肉食屋敷』は、バラエティに富んだ不快系ホラーな作品です。4つの短編で構成されていて、「怪獣小説」「西部劇」「サイコスリラー」「ミステリー」と、さまざまなジャンルがそろっています。 小林泰三さんの小説といえば、グロい内…

吸血鬼を分析して対処『ネフィリム 超吸血幻想譚』

吸血鬼は血を吸った者を吸血鬼にする。であれば、吸血鬼は指数的に増えていくのでは? 言われてみればそうだよ!な気づきが得られた小説が小林泰三さんの小説『ネフィリム 超吸血幻想譚』でした。吸血鬼の生物的な特性を考慮したバトルが熱い小説です。 舞台…

知らなければ良かった話が満載『脳髄工場』

知らなければ良かったと、後悔したことってたくさんありますよね。 自分の存在の正体、住所しか書いていないビデオテープの中身、美味しいお菓子の成分など、興味本位で知りたいことはたくさんありますが、それを知ることは必ずしも幸せな結果になるとは限ら…

『AΩ 超空想科学怪奇譚』終わりと始まりが否応なしに訪れたら

小林泰三さんの小説『AΩ 超空想科学怪奇譚』はSFとクトゥルフ神話が融合したような内容で、両方が好きな人にとってはたまらなく面白いです。日本SF大賞の候補にもなった小説で、隠れた名作でもあります。 学生の頃に読んだ小説なのですが、この小説を読んで…

人間の不安定な部分があぶり出される恐怖『人獣細工』

人間は、自分自身が他の生き物と比べて高尚で完成された生き物と思い込んでいるところがあります。けれどそれは幻想にすぎなくて、考え方を変えると人間はとても不安定な生き物のように見えてきます。 人間は不安定な生き物、そんな事実を突きつけられる小説…

『マインド・クァンチャ』忘れることで強くなる、そんな剣士像に惚れます

『ヴォイド・シェイパ』シリーズの5作目『マインド・クァンチャ』。著者の森博嗣さんのページによると、 これでシリーズ完結としても良いと思っています。次も書くかどうかは、まだ決めていません。 とのことなので、おそらくはこの巻で完結です。「剣士の生…

『記憶破断者』推測で殺人鬼を追い詰めていく過程にしびれます

記憶が数十分しか持たない主人公 VS 記憶を上書き出来る殺人鬼 小説『記憶破断者』の内容紹介だけを見ると無理ゲーな感じがします。主人公の田村二吉は、そんな圧倒的に不利な状況の中で、殺人者の情報を収集し、追い詰めるための算段を画策していくのですが…

『フリーランチの時代』自由になればなるほど、人らしさが見えてくる気がします

技術はますます発達して、いずれはほとんど働かなくても生きていける時代がくるかもしれない。そんな飽食の時代になった時、人は何をするだろうか。そんなテーマ性を小説『フリーランチの時代』に感じます。 圧倒的に自由になったとしても、もしかしたら人の…

『アイの物語』人の物語を理解したいアンドロイドの物語

いつかは人と同様の知性を持つアンドロイドが開発されて、人と同じ行動範囲で生活する未来が来るかもしれない。その時人は、アンドロイドに対してどういった感情を持つのだろう。 人から見ると、アンドロイドの思考は異質のように感じると思います。同様にア…

『幸せスイッチ』今の幸せは、他のより良い幸せに気づけなかった結果でしかない

何を大切にしているかは人それぞれであって、時にはその大切なもののために他の何かを犠牲にしたりします。しかし、犠牲はあっても、その大切なものが守れたのであれば、それはきっと幸せなことなのだろう。小説『幸せスイッチ』にはそんなテーマを感じます…

『フォグ・ハイダ』人の生死について考えた。命の大切さが見えてきた。

森博嗣さんの剣豪小説『フォグ・ハイダ(The Fog Hider)』は霧の中での交戦を経験して成長していくような小説でした。多勢の敵に少数精鋭が挑む戦闘シーンがとても熱いです。 今までの『ヴォイド・シェイパ』シリーズは自己解決して成長していく印象が強か…

エンジニアの感性にとても響く『すべてがFになる』

僕が小説にはまるきっかけとなった作品が、森博嗣さん著の『すべてがFになる』でした。漫画化、ゲーム化、そしてドラマ化もされている作品でもあります。それほどまでに、この小説はおもしろくて魅力的だと思います。 内容は、工学部の助教授と学生が孤島の…